屈斜路湖の湖畔にある砂湯は、砂浜を掘るとその穴に温泉が湧いてくるという珍しい場所である。「掘って入る温泉」と聞くと利用料が気になるところだが、砂湯は無料で、しかも二十四時間いつでも立ち入ることができる。定休日もない。ここでは料金の前提と、この場所を訪れるときに知っておきたいことをまとめる。
料金と営業時間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用料金 | 無料 |
| 営業時間 | 24時間 |
| 定休日 | なし |
| 場所 | 屈斜路湖畔(北海道弟子屈町) |
出典: 摩周湖観光協会 砂湯(2026年9月2日確認)。料金・時間は改定されることがあるため、訪問前に公式サイトでご確認ください。
料金がかからないというのは、入湯料の徴収がないという意味である。設備を備えた温泉施設ではなく、湖畔の砂浜そのものが場所であるという成り立ちによる。二十四時間いつでも入れるのも同じ理由で、開け閉めする門があるわけではない。ただし夜間は照明の乏しい湖畔になるので、暗い時間に湖のそばへ行くなら足元の明かりは自分で用意する必要がある。
掘れば湯が湧くという仕組み
砂湯の面白さは、あらかじめ湯船が用意されていないところにある。湖畔の砂を掘ると、そこに温泉が染み出してくる。掘る深さや位置によって湯加減が変わるので、自分で穴の大きさを調整しながら、ちょうどよい温度の足湯を作ることになる。子ども連れが夢中になるのはこの作業自体で、湯につかる時間より掘っている時間のほうが長い、ということも珍しくない。
掘るには道具があると早い。スコップの類を持っていくかどうかで作業の負担がかなり変わる。素手でも掘れないことはないが、砂は思ったより重い。また、掘り当てた湯は場所によってかなり熱くなることがあるので、いきなり足を入れず手で確かめる習慣をつけたい。湖水を引き込んで温度を下げる、という調整のしかたが基本になる。
湯につかった後の砂は体に残る。タオルは足を拭く用に一枚、体を温める用に一枚あると使い勝手がいい。着替えやすい服装で行くこと、濡れたものを入れる袋を持っていくことも、実際に行った人がまず挙げる準備である。
冬はハクチョウが集まる
砂湯の名物はもう一つある。冬になると、シベリアから渡ってきたオオハクチョウがこの一帯に群れで休む。湖面が凍る季節でも、温泉が湧き出す砂湯の周辺は水が凍りにくい。そこに鳥が集まるという構図で、雪の湖畔に白い鳥が並ぶ光景は屈斜路湖の冬を代表する風景になっている。
野生の鳥であることは忘れないでいたい。近づきすぎない、追い立てない、勝手に餌を与えないというのは、どの場所でも同じ原則である。写真を撮るなら望遠側を使い、距離を保ったまま構えるほうが結果的によい写真になる。
屈斜路湖という湖のこと
屈斜路湖は日本最大のカルデラ湖である。火山の噴火によってできた巨大な窪地に水が溜まった湖で、周囲を高い外輪山が取り囲んでいる。湖畔に温泉が湧くのも、この一帯が今も火山活動の続く土地だからだ。砂湯のほかにも湖のまわりには温泉が点在し、和琴半島には露天の湯がある。
湖を見下ろすなら美幌峠か津別峠が知られている。峠から見る屈斜路湖は、湖というより内海に近い広がりを見せる。条件が揃えば雲海が湖を埋めることもあり、これを狙って早朝に峠へ登る人もいる。
道東を回る旅程のなかで
砂湯は弟子屈町にあり、摩周湖や川湯温泉と近い。摩周湖の展望台に登り、川湯温泉で硫黄の匂いのする湯につかり、砂湯で自分の湯を掘るという組み立ては、車があれば一日で回りきれる範囲にある。阿寒湖まで足を伸ばすなら、もう半日は見ておきたい。
道東は地点と地点の距離が長く、移動時間が旅程を決める。無料で二十四時間いつでも寄れる砂湯は、その意味で組み込みやすい場所である。時間に縛られないので、他の予定が押しても切り捨てずにすむ。逆に、ここを一日の締めに置いて日没の湖を眺めるという使い方もできる。
巨大なカルデラのなかにいる
砂湯に立っているとき、自分がいるのは火山の噴火でできた巨大な窪みの底である。屈斜路湖は日本最大のカルデラ湖で、湖を囲む山並みはすべて、かつての大噴火で吹き飛んだ跡の外輪山にあたる。湖の対岸が遠く霞んで見えるのは、それだけの規模の陥没がここで起きたということだ。砂を掘れば湯が湧くのも、この地面の下がいまも熱を持っているからにほかならない。
湖の中央付近には中島という火山島がある。カルデラができた後にその内側で噴火が起きてできたもので、湖のなかにさらに山があるという構造になっている。湖岸から見ると、水平線の途中に唐突に山が浮かんでいるように見え、湖の広さを測る目印になる。
湖のまわりの温泉
砂湯は屈斜路湖畔の湯のひとつにすぎない。湖に突き出した和琴半島にも湯が湧き、湖畔にそのまま浸かれる露天がある。少し離れた川湯温泉は強い酸性の硫黄泉で知られ、温泉街に入ると空気の匂いが変わる。同じ湖のまわりで泉質も入り方もこれだけ違うというのは、この一帯の火山活動の複雑さを反映している。
川湯温泉の背後には硫黄山がある。噴気孔から白い蒸気が音を立てて噴き出す様子を間近で見られる場所で、屈斜路湖の地下で何が起きているのかを直接目にすることができる。砂湯の湯が熱いのは当たり前だと納得するには、ここを先に見ておくとよい。
摩周湖と並べて考える
屈斜路湖の東隣には摩周湖がある。こちらは流れ込む川も流れ出す川もない、透明度で名を知られた湖だ。二つの湖はカルデラという成り立ちを共有しながら、性格がまったく違う。摩周湖は展望台から見下ろすだけの湖で、湖面に降りることはできない。屈斜路湖は逆に、湖畔で足を湯につけたり、水に触れたりできる。
見る湖と、触れる湖。道東を回るとき、この二つを同じ日に訪ねると対比がはっきりする。摩周湖は霧に覆われて何も見えないことも多いので、天気に左右されない砂湯を同じ行程に入れておくと、その日の当たり外れを吸収できる。
湖にまつわる話
屈斜路湖には、湖に大きな生き物が棲むという伝承がある。目撃談が話題になった時期があり、地元では愛称で呼ばれてきた。真偽を論じる話ではないが、これほど広く、対岸が霞むほどの湖であれば、そういう想像が生まれるのも無理はないと現地に立つと思える。
アイヌ語に由来する地名が濃密に残る土地でもある。クッシャロ、テシカガ、マシュウ——湖や町の名の多くが、その土地の地形や成り立ちを表す言葉から来ている。名前の意味を一つ調べてから訪れると、風景の見え方が少し変わる。
いつ行くか
砂湯は二十四時間いつでも入れて料金もかからないので、時間の制約を受けない数少ない観光地である。日中は掘って遊ぶ人でにぎわい、朝夕は静かになる。冬はオオハクチョウが集まるため、鳥を目当てにする人が増える。
道東は地点間の移動距離が長く、天候の影響も受けやすい。予定どおりに動けないことを前提に旅程を組むなら、いつ寄っても成立する場所を一つ持っておくと精神的に楽になる。砂湯はまさにその役割を果たしてくれる。
近くの施設の料金
同じ北海道の施設と並べると、屈斜路湖 砂湯の料金の位置がわかります。いずれも旅比較で出典を確認している金額です。
| 施設 | 料金の目安 |
|---|---|
| 小樽市総合博物館 運河館 | 目安 ¥300〜 |
| 釧路市湿原展望台 | 目安 ¥480〜 |
| 旭山動物園 | 目安 ¥1,000〜 |
| 洞爺湖温泉 日帰り入浴 | 目安 ¥1,200〜 |
| ノーザンホースパーク | 目安 ¥1,200〜 |
| 十勝川温泉 日帰り入浴 | 目安 ¥1,300〜 |
金額は目安です。各施設のページで出典と確認日を掲載しています。
温泉・日帰り入浴を、入場料でくらべる
| 施設 | エリア | 入場・拝観の目安 ▲ | 滞在の目安 ▲ | |
|---|---|---|---|---|
| 湯の川温泉 足湯「湯巡り舞台」 | 函館 | 無料 | — | |
| 浅虫温泉 日帰り入浴 | 青森 | ¥360〜 | 約1時間30分 | |
| 和倉温泉 総湯 日帰り入浴 | 石川・加賀 | ¥500〜 | 約1時間30分 | |
| RAKU SPA 1010 神田 | 東京 | ¥600〜 | 約1時間45分 | |
| 道後温泉本館 日帰り入浴 | 松山・道後 | ¥700〜 | 約4時間 | |
| 天然温泉 ひなたの湯(新大阪) | 大阪 | ¥880〜 | 約2時間15分 | |
| 竜泉寺の湯 八王子みなみ野店 | 東京 | ¥950〜 | 約2時間 | |
| 大洗温泉 日帰り入浴 | 茨城 | ¥1,000〜 | 約4時間 | |
| ウェルビー福岡 | 福岡 | ¥1,100〜 | 約2時間30分 | |
| 洞爺湖温泉 日帰り入浴 | 北海道 | ¥1,200〜 | 約4時間 | |
| 定山渓温泉 日帰り入浴 | 札幌 | ¥1,500〜 | — | |
| 箱根小涌園ユネッサン | 箱根 | 変動 ¥2,500〜3,000 | 約6時間 | |
| おごと温泉(雄琴温泉)日帰り入浴 | 滋賀・雄琴 | ¥2,750〜 | 約4時間 | |
| 横浜天然温泉 SPA EAS(横浜駅西口) | 横浜 | ¥4,400〜 | 約2時間30分 |
入場・拝観の一般料金の目安です。ガイドツアー・セット券・団体割引は含みません。滞在の目安は主要な見どころを回った場合の目安時間です。料金は改定されることがあるため、お出かけ前に各施設の公式サイトをご確認ください。
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